痛みを浄化する光

 

「ホントに刹那が来てくれるといいんだけど……」
「随分弱気ですねぇ」
独り言のつもりだった呟きに反応したのはミレイナだった。
オペレーター席に座る彼女は画面から視線を外してこちらを振り返る。
可愛らしいツインテールが低重力の中を浮いた。
「アーデさんのこと信用してないんですか?」
「んー……どうだろ」
「えぇー」
そんな訳はない、と即答することは出来なかった。ミレイナは唇を尖らせる。
「まだ私もティエリアのことあんまり知らないからさ」
「そうなんですかっ?!」
今度は声が弾む。ころころと表情が変わって忙しいなぁと思う。
自分が彼女くらいの年はこんな風だっただろうか。否、こんな風にきらきらと輝いていなかった。
ましてや、こんな全世界を敵に回した状態でもこうやって笑える筈もない。
「でもケイさんってアーデさんとずっと一緒にいるじゃないですかぁ!」
「えぇー。ずっとかなぁ、四年間って」
「ずっとですよぉ」
言い重ねるミレイナにそれ以上反論する気も起きず「じゃあそうなのかな」と、とりあえず同意しておいた。
「お前らさ」
ラッセが操舵席からちらりと顔を向けてくる。からかいが混じった苦笑を浮かべながら。
「作戦中だってこと、忘れるなよ」
「あ、ごめん」
「はぁい」
ミレイナはもう一度ディスプレイと向き合い、私はメインモニターに視線を移した。
あれほどの悲しみと痛みを負いながらも再び動き出すことができた、そのことに感謝を込めて。



 

inserted by FC2 system