笑顔に変わる言葉

 

「刹那!」
柔らかい子ども特有の声が格納庫に響く。
久しぶりに聞いたその声に刹那は僅かだが頬を緩めた。
そちらを向くと、全く姿の変わっていない子どもがこちらに走ってくるのが見える。
「刹那っ、せーつなーぁ!」
軽やかな足音をたてながら刹那に近付いてきたローザはそのままスピードを殺すことなく全身で飛び付いた。
刹那はよろめきながらも倒れることなくその小さい体を受けとめる。
「お前も変わらないな」
頭の差が開いたのは刹那の身長が伸びたからだろう。四年という月日は意外にも大きいものなのかもしれない。
「刹那は大きくなったね。かっこよくなった!」
貧弱なままの両腕が刹那の腰にぎゅっと巻き付く。
大して痛くもない力なので振り払うこともせずそのまま好きにさせておいた。
無邪気な笑顔は何も変わっていないように見える。
それでもこの四年間何もなかった訳ではないだろう。悲しいことも辛いことも少なくはなかった筈だ。
「ローザ」
「ん?」
それらもこれから聞いていけば良い。
空白の時間、一人きりだった時間も伝えていけばいつかは自分一人きりのものではなくなるから。
「ただいま」
「うん!おかえりっ!」
だがらまずは幸せの挨拶をしよう。



 

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