染まっていく二人

 

掬えるだけ彼女の髪を纏めてはそれをまたゆっくりと戻す。
そんなことを繰り返していると「くすぐったいよ」と言葉が飛んできたので「ごめん」と謝った。
「ケイは、髪が伸びたね」
「違和感あるでしょ」
「ん……最初は驚いたけど。でも、可愛いんじゃないかな」
そう言えばケイは言葉を詰まらせて縮こまるように肩をすくめた。
「ケイ? どうかした?」
「恥ずかしいだろ」
「でも、本当のことだよ」
僕の手から逃げるようにケイが立ち上がる。もしかして怒らせてしまったのかもしれない。
(どうすればいいんだろう)
本当のことを言っただけなのに。
「ケイ……」
「じゃあ私も言わせてもらうけどさ!」
不安げな声は張り上げた声に掻き消されてしまった。
「え?」
「アレルヤはかっこよくなったよ、すごく」
「えっ……」
ケイに格好良いと言われるのは初めてではないのに、彼女の顔が真っ赤なのでケイの顔の朱さが僕にも移ってしまった。
「ほら、恥ずかしくない?」
「でも……、僕が恥ずかしいと思ったのはケイが恥ずかしそうに言うからだよ」
「う、る……さいっ!」
「顔真っ赤だよ」
「誰の所為だと思ってんの?!」
そう怒られて漸く原因は自分なんだと気付く。
(どうしよう、なんだか嬉しい)
自分の言動が彼女に影響を及ぼすことがこんなにも嬉しい。
己の醜い獣が心地よさそうに瞼を閉じる。
「ねぇ、ケイ。髪結んでみたらどうかな」
「私不器用だから無理だよ。なんで?」
「可愛いと思うんだけど」
「あーもううるさい!」



 

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