小さく些細な未来

 

「やっと、たたかえる」
眼前に見据えたのは自分のものとなる機体、GNR-Jack“アンジュ”。
ローザ自身の能力に合わせてゼロからの設計になったが、漸くロールアウトまで辿りついた。
自分もコンピューターでのミッションなら何度もやってきた。あとは実践を待つのみだ。
「戦う、これで、ようやくたたかえる」
今までどれだけ歯痒い思いをしてきたか。
自分自身も子どもとして周りにたくさん甘えてきたのがいけなかったのかもしれない。
そうやって己の存在意義から目を逸らし続けてきたのだから。
けれどもうそんな時間もお終いだ。
これ以上トレミーから犠牲を出さない為に、これは自分で選んだこと。
もともと自分はその為の存在なのだ。戦うしかないと思っていたし、そのことを厭う気持ちはなかった。
ならば自分の意思で戦える今、躊躇いはない。
「さいごまで一緒にいてね。アンジュ」
きっと自分はこのコクピットの中で死を迎えるのだ。
そんな予感を抱きながら、胸にあるのは恐怖ではなくむしろ喜びに近い。
ソレスタルビーイングのひとりとして、大切な人達の為に生きられる。
「刹那達には、生きていてほしいんだ」
描こう。これから戦う己を鼓舞する為に。
大切な人達が生きる未来を。
(きっとそこに、あたしはいないけど) 



 

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