手を伸ばして掴む

 

フェルトから届いたデータに視線を走らせていたスメラギはドアの開閉音に後ろを振り返った。
「失礼します」
そこには制服に身を包んだケイが立っていた。
まだ気分の上がらないスメラギが浮かべる微笑みは力無く弱々しい。
「ケイ、どうしたの?」
「手伝うこと、何かないかなぁって思って」
「手伝うこと?」
「私も、作戦考えることが仕事ですから」
「……そうだったの」
彼女の声に驚愕が滲む。
数年前までは民間人だったこの少女がまさか作戦を練っているとは思わなかった。改めて月日の大きさを知ると同時に、苛立ちのような悲しみのような、もしかすると悔しさのような何かが胸に訪れる。
この子は自分が感じたような重責に苦しむのだろうか。仲間を危険に晒すような恐怖に耐えられるのだろうか。
「大変ね……」
かろうじて言えたのはそれだけだった。
それに対してケイは「そんなことないですよ」と苦笑した。
「私よりティエリアのが大変ですよ。私の作戦、ティエリアにフォローしてもらってばっかり」
「ティエリアが?」
思いがけない名前に声のトーンが上がる。
「はい。前のやつだって、私の予測全然当たらなくて、その度にティエリアが教えてくれたんです」
ケイはスメラギの横に立ってモニターに視線をやる。
「だから、スメラギさんが失敗しても、みんなでフォローすればいいんですよ」
「私は、スメラギさんの背負ってるもの、少しでも軽くできるようになればいいなって思って。だから私は、スメラギさんをサポートしたいと思ったんです」
「だから、どうか手伝わせて下さい」
 



 

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