ノースポールにて

 

「おかえり、アレルヤ!」
アリオスから降りたアレルヤとソーマを迎えたのはソーマと同じくらいの少女だった。
軍の中で「おかえり」と言われたことなどないソーマは一瞬動きを止めたが、隣りのアレルヤは何の躊躇いもなく「ただいま」と返す。
「二人とも、怪我はなさそうだけど大丈夫?」
「僕は大丈夫。マリーは?」
「わ、私も平気だ……」
その名前は未だ慣れない。ただ、「マリー」と呼ぶ男の声がとても嬉しそうで無視をすることが出来なかった。
「マリーさんっていうんだ。なんか、素敵な名前ですね」
「そうか……?」
記憶にない名前を褒められても反応に困る。
こちらの曖昧な返答にも特に気分を害した様子もなく彼女は続ける。
「私はケイです。ソレスタルビーイングの一人です。申し訳ないですがマリーさんには一旦牢屋みたいなところに入ってもらわなきゃいけないんですよ」
やや早口に紡がれた言葉は充分に承知していたことだった。ソレスタルビーイングとしては正しい判断だ。
「だから私が案内します。アレルヤ、ついてきてもらうけど、大丈夫?」
「あぁ」
「じゃあマリーさん、来て下さい」
そう言われてさしのべられたのは少女の手のひらだった。
どうすれば良いのか分からず固まっていると隣から「手を出すんだよ」と教えられる。
言われるままに手を差し出すとぎゅっと手のひらと手のひらが重ねられた。
「じゃ、いきまーす」
こちらに背を向けて歩き出す少女の手は火傷をしそうなほどに熱く、冷たかった何かが急激に熱を得ていくのが分かった。



 

inserted by FC2 system