初恋は終わらない

 

「髪、伸びてんだな」
パイロットスーツ越しに触れてくる手に心臓が五月蝿く音をたてる。
久しぶりに感じる彼の温もりはやはり懐かしくて、どれだけアレルヤの傍にいようと感じられないものだった。
「なんとなく、伸ばしたくなったんだ」
「色気づいてきたんじゃねーの?」
「いや、それはない」
「どうだかなぁ?」
両手で顔を挟まれたと思ったら強引に上を向けさせられる。至近距離で真正面からこちらを見るハレルヤの眼差し。
目を合わせることが出来ず、視線を右下の方へ移した。
「アレルヤにも色目使いやがって」
「……使ってない」
弱くしか否定出来ないのは後ろめたいことがあったからだ。けれどハレルヤだってそんなことはお見通しに決まっている。
「本気で言ってんのか?」
そうだ、と言えなかった。
分かっている、自分が悪いことは。けれど理由もあったのだと伝えたかった。
「ごめん……。でも、それしか……アレルヤに、出来ることが思いつかなかったから」
「は?」
「アレルヤが望むなら、私はそれで良かったんだ」
「てめぇは……、俺が消えてアレルヤを好きになったのか……?」
「違う。違う、そういうんじゃない。……ハレルヤがいなくなったの、私の所為だと思った、……だから、アレルヤに申し訳なくなって……」
そこまで言ったところで、強い力で身体を抱きしめられた。ハレルヤの加減のない抱擁は息苦しいほど強い。
私の頭はパイロットスーツの胸部に押し付けられて、痛くて、額が腫れそうだなぁと思った。
「馬鹿じゃねぇの」
「うん、そう……ごめん」
愚かしいと自覚はあった。ただ、それだけが自分がアレルヤに出来ることだと思っていたから。
彼に対する、ハレルヤを奪ってしまったことへの罪滅ぼしになると思っていた。
けれど、こんな風にハレルヤが傷つくというのなら。
「もう、絶対しないから」



 

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