秘められた願い事

 

アレルヤの部屋を訪れたとき。
彼がベッドにぐったりと横たわっていたのを見て全身の血の気が引いた。彼の体勢はちゃんと眠ったというよりは倒れ込んだという状態に近い。
震える足でなんとかベッド際まで近寄りそっと顔を近づける。僅かだがゆっくりとした寝息が聞こえて安堵した。あとほのかにアルコールの匂いもする。
(寝てるのか)
ロックが解除されていたのは洗濯物回収が仕事である自分の為かと思ったけれど、この様子だとただの掛け忘れに違いない。
とりあえず洗濯の必要そうなものをかき集めて袋に纏める。後はティエリアの部屋から回収してリネン室の洗濯機に放り込んでおけば良い。
(それにしてもお酒かぁー……)
以前ロックオンに誘われたときは未成年だと断っていたがいつのまに成人したのだろうか。気にはなる。しかし己にそれを知る術はない。
「おやすみ、アレルヤ」
本当に小さな声で囁く。
瞬間、アレルヤの身体がおもむろに動いた。
「ん……?」
「ケイ……。待って、ケイ」
灰色の瞳と髪の隙間から見える金色の瞳、二つの瞳がこちらを真っ直ぐ見ていた。
寝起きにしては呂律がはっきりとしていたから、もしかしたらさっきまでも起きていたのかもしれない。
「どうしたの? アレルヤ」
「ケイ、待って。お願いだから」
アレルヤは捨てられるのを怖がっているように見えた。
「うん。行かないから、ここにいるから」
傍に戻るとあからさまにほっとした表情になる。
「ごめんね……」
「ん? 何で? 私はアレルヤと一緒にいられて嬉しいよ」
彼に必要とされていることが嬉しかった。この人は誰かに甘えたりしそうにない、一人で苦しんでいるような人だから。
せめてアレルヤが眠るまでは傍にいようと思った。
しかし私は彼のベッドの縁を借りて寝てしまう。それはまた別の話。



 

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