キュリオスから降りたアレルヤはすぐにスメラギに連れていかれてしまった。労いの言葉をかける暇もなくただその後ろ姿を見送ったは、胸にもやもやとしたものを抱えながら溜め息を吐いた。
命令違反だとかミッションプランへの影響だとか、そういったものでアレルヤを咎める立場に自分はいない。自分は正式なソレスタルビーイングの構成員ではない。だからかもしれないが、彼を咎める気にも責める気にもなれなかった。それよりも「アレルヤらしい」と思う気持ちの方が強い。




。暇があるならブリッジへ行け」
「ティエリア」
いつもすました顔をしているティエリアも今はぴりぴりとした空気を纏っている。彼がアレルヤの命令違反に憤慨していることは明らかだった。彼はヴェーダを絶対としていてソレスタルビーイングの計画が狂うのを何よりも嫌う。それは短い間にもへとしっかり刻まれていた。
「分かった。ティエリア」
「なんだ」
「アレルヤに会えるかな」
その名前を聞いただけで綺麗な顔が分かりやすく歪む。
「会って何をするつもりだ」
「ただ話したいだけだよ」
「愚かしい……」
氷のように冷たい眼差しが更に鋭さを増して、射殺さんばかりにを睨んだ。
「別に愚かでいいし」
「……君は、アレルヤ・ハプティズムに悪い影響を与えるようだな」
「そうかな? ……それを決めるのはアレルヤだよ」
「結果は出た。今回の命令違反こそが事実だ」
(頭かたいなぁ)と言葉に出さず心の中で愚痴る。けれどティエリアの言い分が道理に適っているのは分かっていた。
「今回のは、私はアレルヤらしいと思う」
いよいよティエリアの視線には殺意がこもってきた。それに対しての恐怖はなく、むしろ呆れが上回る。ティエリアに、というよりはこんな会話をしている自分に対してだ。
どうせ私には彼の求める答えは出せない。私にとって重要なのはソレスタルビーイングの理念やマイスターとしての素質ではない。それが私と彼の絶対的な違いであり、私とアレルヤを近づけるものだ。
「んじゃ、ブリッジ行くから」
「アレルヤ・ハプティズムには会えないぞ」
「りょーかい」
どちらの考えが間違っているとか、そんなものはどうでも良かった。ただ私にはこうとしか考えられなくて、それがティエリアの考えと異なっているだけだ。
ただ、誰が何と言おうと私はアレルヤを責めたくはないし、「あれでよかったと思う」と彼に伝えたいと思った。 





世界に立っている。





 

 

 

 

 

 

 

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